忍者ブログ
顧問弁護士が労務問題(残業代請求、不当解雇等)を中心にテーマ別にメモするブログです。交通事故や刑事事件、借金返済問題なども扱います。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

時間外勤務
本ブログでは、時間外労働・深夜労働について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。

第三 争点に対する判断
一 認定事実
1 本件出張と本訴に至る経過
 原告は、平成三年一月一三日から同月二六日にかけ、韓国に本件出張をした。
 帰国後の同年二月四日頃、原告は、本件協定一条に基づき時間外勤務手当(残業代)の支払を請求するため、被告会社人事課に対し、「海外出張者就業時間記入表」(〈証拠略〉)を作成・提出した。同表において、原告は、本件移動時間も実働時間に含まれるものとし、同月一七日について八時間、同月一八日について九時間、同月二二日について八時間と、実働時間欄に記載した。
 しかし、人事課の担当者は、右各日について移動時間五時間を削り、同月一七日について三時間、同月一八日について四時間、同月二二日について三時間と、実勤務時間欄を訂正し、現地勤務時間七七時間から所定就業時間七〇・五時間を差引き、七時間を海外残業時間と認定し、被告会社は、同年三月二三日、時間外勤務手当(残業代)として七時間分の金二万二二〇三円を原告に支払った。
 原告は、右取扱いに納得せず、直ちに人事課に電話で問合わせをなし、人事課から関連協定書類を提示されたが、やはり納得せず、同年三月二九日、被告会社人事課に対し、「海外出張中の就業時間について問い合わせ」(〈証拠略〉)なる文書を提出した。
 また原告は、同年五月二三日、組合執行委員会に対し、右取扱について善処方を要請する文書(〈証拠略〉)を提出した。
 更に原告は、同年六月三日、被告会社の依田人事部長に対し、諮問書(〈証拠略〉)を提出した。
 同年七月から翌平成四年三月にかけ、原告は、被告会社の依田人事部長、石橋人事課長らと話合の機会をもったが、双方の意見は平行線を辿り、同年四月二二日、原告の申立により、新宿労働基準監督署において事情聴取が行われた。その結果、同労働基準監督署の見解は、労働基準法違反はないというものであった。
 その後、同年七月六日に原告と依田人事部長、同年九月四日に原告と被告会社の顧問弁護士(被告代理人)である大下慶郎弁護士らとの間で、話合いの機会が持たれたが、双方の意見は対立したままであり、原告は、翌平成五年一月七日付け内容証明郵便により、被告会社に対し、未払賃金請求と謝罪を求める文書(〈証拠略〉)を発したが、被告会社はこれを拒絶する回答(〈証拠略〉)をした。
 そこで原告は、同年二月一二日、本訴を提起した。〈証拠・人証略〉
2 本件出張に適用される労働協約
 組合と被告会社との間に平成二年七月一日に締結された労働協約によれば、第一二章「旅行」の一〇八条一項で「旅行中は所定就業時間勤務したものとして扱う。」、一一四条で「旅行中、所用先の業務の都合により、時間外労働(残業)または休日出勤をした場合には、一〇八条一項および一一一条(旅行中の休日)の規定にかかわらず、本人の申告により、時間外労働(残業)または休日出勤の取扱いを受けることができる。ただし、この時間計算には、この協約に定める時限を準用する。」、一一五条で「所定就業時間外および休日の乗車(船)時間は就業時間として取扱わない。」と規定されている。
 昭和六一年一二月二六日、被告会社の総務部門長である島村昌孝と組合の書記長である井上雅司との間で締結(同六二年一月一日実施)された労働協約たる「外国旅行における勤怠および時間外勤務(残業)の取扱いに関する協定書」(横労協八六ー一一五号、本件協定)によれば、二条一項で「時間外勤務(残業)の算定については、月別に実勤務時間が当該出張期間に対応する国内所定就業時間を超えた時間分について、時間外勤務手当(残業代)を支給する。この場合、実勤務時間とは、休憩、移動(通勤を含む。)、接待等に要する時間を除いたものをいう。」、同条三項で「就業時間が当該出張期間に対応する国内所定就業時間に満たない場合は減額しない。」と規定されている。(〈証拠略〉)

企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、顧問弁護士契約をしている弁護士にご相談ください。また、個人の方で、相続や遺言交通事故の示談・慰謝料不当な整理解雇敷金返還請求(原状回復)ご家族逮捕などの刑事弁護士への相談が必要な刑事事件借金返済の相談などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。

PR